トラックの架装とは?種類や特徴、架装済みトラックを選ぶポイントを解説
トラックの架装とは、荷台部分のことであり、運搬する荷物や用途に応じてさまざまな種類があります。平ボディ、ウイングボディ、バンボディ、ダンプトラックなど、それぞれの架装には特徴があり、効率的な輸送を実現するために重要なポイントです。
本記事では、トラックの架装の種類や特徴、目的を詳しく解説。架装済み中古トラックを購入する際の注意点も紹介します。架装の選び方やメンテナンスのポイントを押さえ、最適なトラック選びの参考にしてくださいね。
トラックの架装とは?
トラックの架装とは、トラックの荷台部分のこと。「上物(うわもの)」や「ボディ」と呼ばれることもあります。
トラックは大きな荷物を運ぶための車両ですが、構造は「シャーシ部分」 と 「架装部分」の大きく2つに分かれています。シャーシ部分は、エンジン、フレーム、タイヤ、運転席(キャビン)などの基本構造を指し、トラックの走行性能や耐久性を左右する部分です。
トラックを選ぶ際や、カスタマイズを考える際には、「シャーシ部分」 と 「架装部分」の違いを理解しておくことが重要です。
トラックの用途によって架装の種類が変わります。例えば、自動車を運ぶのであれば「キャリアカー」、重量物の積み下ろしを行うのであれば「クレーン付きトラック」など、目的に応じて最適な架装が異なります。
トラックメーカー(いすゞ・日野・三菱ふそう・UDなど)が生産するのは、基本的に「シャーシ部分のみ」です。その後、利用する業界や用途に応じて架装メーカー(ボディメーカー)によって荷台が取り付けられます。
トラックの架装の目的
トラックを架装する目的は、主に以下4つです。
- 運搬効率の向上:荷台の形状や構造を変更し、積載・荷下ろしのしやすさを向上
- 荷物の安全性確保:荷崩れや破損を防ぐための固定装置や保護機能を追加
- 作業の自動化・省力化:クレーンやリフトの取り付けによる作業負担の軽減
- 特定の用途に特化:冷凍食品の配送、液体の運搬など、業務ごとの特殊機能を追加
用途に適したトラックの架装を行うことにより、作業効率を大幅にアップさせることが可能です。
トラックの架装の種類
トラックの架装にはたくさんの種類があります。ここでは、トラックの架装でも代表的な種類をいくつか紹介します。
平ボディ
平ボディの特徴
- 床が平らな荷台で、柵(アオリ)付きのものが一般的
- 建築資材、機械、家具などを運搬するのに適している
- フォークリフトやクレーンを使った荷物の積み降ろしがしやすい
- 風雨にさらされるため、防水シートや専用カバーを使用することが多い
平ボディは、建設現場での資材搬送やイベント機材の輸送などさまざまなシーンで活用されているオーソドックスな架装です。荷物の積み下ろしがしやすく、たくさんの用途で使用されています。
荷台には柵(アオリ)が付いているものが一般的で、荷物の固定や積み下ろしをスムーズに行えます。フォークリフトやクレーンを使用した積み下ろしがしやすく、効率的な作業が可能です。
一方、荷台が露出しているため、風雨やほこりの影響を受けやすく、防水シートや専用カバーを使用して荷物を保護する必要があります。シンプルな構造ながらも、多用途に活用できる汎用性の高い架装タイプです。
ウイングボディ
ウイングボディの特徴
- 荷台の側面が大きく開く構造になっている
- フォークリフトでの積み下ろしがスムーズにできる
- 荷台は箱型のため、雨風を防ぎやすい
ウイングボディは、荷台の側面が大きく開く構造を持つトラックで、フォークリフトを使った積み下ろし作業をスムーズに行えるのが特徴です。
通常のバン型トラックと異なり、側面が跳ね上がるため、狭いスペースでも効率よく荷物の出し入れが可能。荷台は箱型で雨風を防ぎやすく、食品や精密機器などの輸送にも適しています。
物流業界ではパレット輸送の需要が高く、ウイングボディは倉庫や工場間の輸送に幅広く活用されています。安全性と作業効率を両立した架装タイプとして、多くの企業で採用されています。
バンボディ
バンボディの特徴
- 荷台が箱型の構造で、雨風を防げる
- 精密機器や食品、医薬品の輸送に適している
- セキュリティ対策がしやすく、盗難リスクが低い
- 内装が温度管理できる仕様になっているタイプもある
バンボディは、荷台が箱型の構造をしており、雨風やホコリから荷物を保護できるトラックです。精密機器、食品、医薬品などの輸送に適しており、貨物の品質を維持しながら運搬できます。
密閉型の荷台構造により、防犯対策がしやすく、盗難リスクが低い点もメリットです。さらに、一部のバンボディは温度管理機能を備えており、冷蔵・冷凍輸送にも対応可能しています。
都市部での配送や貴重品輸送にも利用され、幅広い業界で活用されている架装タイプです。
冷凍・冷蔵車
冷凍・冷蔵車の特徴
- 荷台に冷却機能を搭載しており、温度管理が可能
- 低温設定ができ、生鮮食品や医薬品の輸送に適している
- 一定の温度を維持するための断熱構造が施されている
冷凍・冷蔵車は、荷台に冷却機能を搭載し、一定の温度管理が可能なトラックです。特に生鮮食品や医薬品など、温度変化に敏感な貨物の輸送に適しており、食品業界や医療分野で広く活用されています。
荷台内部には断熱構造が施されており、外気の影響を受けにくく、設定した温度を維持できるのが特徴です。
低温設定が可能なため、冷蔵・冷凍食品の長距離輸送にも対応可能。温度管理が厳密に求められる配送業務には欠かせない架装タイプです。
ダンプトラック
ダンプトラックの特徴
- 荷台が油圧で傾き、積載物を一気に排出できる
- 砂利や土砂などの運搬に適している
- 強化されたシャーシとサスペンションを持つ
ダンプトラックは、荷台が油圧で傾く構造を持ち、積載物を一気に排出できる特殊なトラックです。主に砂利や土砂、廃材の運搬に使用され、建設現場や土木工事で欠かせない車両です。
荷台を傾けることで、スムーズかつ短時間で荷物を下ろすことができ、作業効率を大幅に向上させます。
重い資材を運ぶために強化されたシャーシやサスペンションが備えられており、耐久性にも優れています。運搬から排出作業までをスムーズに行うため、ダンプトラックは効率的な作業を求める現場に最適です。
クレーン付きトラック(ユニック車)
クレーン付きトラックの特徴
- 小型クレーンを荷台に搭載し、重量物の積み降ろしを容易にする
- クレーンの操作が必要なため、特別な資格が求められる場合もある
- 4本のアウトリガー(安定脚)を装備し、安定した作業が可能
クレーン付きトラックは、荷台に小型クレーンを搭載し、重量物の積み降ろしを容易にできるトラックです。主に建設資材や大型機械の運搬に活用され、フォークリフトが使えない現場でも荷物の積み下ろしが可能です。
作業時の安定性を確保するために、4本のアウトリガー(安定脚)を装備しており、安全に荷物の吊り上げ作業を行えます。
クレーンの操作には特別な資格が必要な場合があるため、使用する際は事前に確認が必要です。建設業や物流業など、幅広い業界で活躍する実用性の高い車両です。
タンクローリー
出典:東邦車輌株式会社
タンクローリーの特徴
- 液体や気体を運ぶための専用タンクを搭載
- タンクは金属製やFRP(強化プラスチック)製があり、内容物によって異なる
- ガソリン、牛乳、薬品など、さまざまな液体輸送が可能
タンクローリーは、液体や気体を運搬するために専用のタンクを搭載したトラックです。運搬する内容物によって、金属製やFRP(強化プラスチック)製のタンクが使用されます。
主な用途は、ガソリンや軽油などの石油製品、牛乳や飲料水などの食品、薬品や化学物質の輸送などです。液体の漏れを防ぐための特殊な構造が施されており、安全性と効率性が求められる輸送に適しています。
運搬する液体によっては、専用の免許や厳格な取り扱い基準が必要です。
キャリアカー
キャリアカーの特徴
- 自動車を積んで運ぶ専用のトラック
- 2階建ての構造で、一度に複数台の車を運搬可能
- 車両を固定するための専用レールやストラップを装備
キャリアカーは、自動車を運搬するために特化した専用トラックです。一般的に2階建ての構造になっており、一度に複数台の車両を輸送できるのが特徴です。主にディーラーへの新車納車や、中古車の販売店間輸送などに利用されます。
荷台には専用のレールやストラップが装備されており、車両が運搬中に動かないように固定する仕組みが施されています。
スロープや油圧リフトを使って、車両の積み降ろしをスムーズに行うことが可能です。安全性や積載効率が高く、大量輸送に適したトラックです。
中古トラックを購入する際に注意する架装部分のポイント
架装済みの中古トラックを購入する際には、車両の状態や使用目的に適した架装が施されているかを慎重に確認する必要があります。以下、5つのポイントを押さえておきましょう。
架装部分の状態
中古トラックの架装部分は、前の所有者の使用状況によって摩耗や劣化が進んでいる場合があります。以下のポイントに合わせて事前に状態をチェックすることが大切です。
ウイングボディ バンボディ |
ドアや開閉機構の作動確認、雨漏りの有無 |
ダンプトラック | ダンプアップの動作、床・根太の状態、荷台の錆びやへこみ |
冷凍・冷蔵車 | 冷凍機の冷え具合、扉部分の密閉度 |
クレーン付きトラック(ユニック車) | 旋回ギアのがたつき、ブームの垂れ下がり、シリンダーのオイル漏れ、荷台の床・根太の状態 |
架装のカスタマイズ履歴を確認する
前の所有者がカスタマイズした架装が施されている場合、メーカー純正の状態と異なっている可能性があります。そのため、以下のポイントを確認することが大切です。
- 架装部分が法令に適合しているか
- 追加装備(ウインチ、ゲートリフターなど)が適切に動作するか
- 架装後の重量バランスや安全性に問題がないか
トラックの架装は、道路交通法や車両法に基づいた基準を満たさなければいけません。過去に行われたカスタマイズが適切でない場合、車検に通らない可能性があります。
また、カスタマイズされたトラックは、特定の用途には適していても、汎用性が低い場合、売却時に買取価格が下がる可能性があります。事前に架装履歴を把握しておくことで、購入時の判断や、将来的な売却を見据えた選択ができます。
二次架装に注意する
中古トラックを選ぶ際には、車両本体だけでなく、後付けされた架装(いわゆる「二次架装」)にも注意が必要です。二次架装とは、新車出荷後に荷台やクレーン、冷凍機などの特装部分を取り付ける作業を指します。これ自体は問題ありませんが、検査後に重量物を追加するなど、不正な方法で検査を通す「不正な二次架装」が一部で報告されています。
例えば、検査時には荷台を外した状態で軽く見せ、検査合格後にクレーンや燃料タンクを追加するケースです。これは法令違反にあたり、安全性や耐久性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
購入前にチェックすべき二次架装のポイント
- 架装メーカーの名義や施工履歴が残っているか
- 構造変更(改造)の記録が車検証・整備記録簿にあるか
- 架装部の溶接・取り付け部に不自然な跡がないか
- 荷台やクレーンの状態(錆・劣化・作動確認)
架装トラックをお探しの方はぜひGROOWAVEまでご相談ください!
トラックの架装とは、荷台部分を指し、「上物(うわもの)」と呼ばれることもあります。架装には、平ボディやウイングボディ、バンボディ、冷凍・冷蔵車、ダンプトラック、クレーン付きトラック(ユニック車)などさまざまな種類があります。
架装された中古トラックを購入する際は、架装部分の状態、シャーシの損傷、カスタマイズ履歴、必要な免許、販売業者の信頼性を確認することが重要です。
GROOWAVEでは、ウイングボディ・ダンプ・クレーン付きトラック・冷凍冷蔵車など、多様な架装トラックを取り扱っています。プロの目による厳格な検査・点検を実施し、信頼できる品質のトラックを提供しています。
架装トラックをお探しの方はぜひ一度GROOWAVEまでご相談ください。