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トラックコラム
建設現場や道路工事の現場でよく見かけるミキサー車。ドラムが回転している様子から「何をしているのか？」と疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
ミキサー車は、工場で製造された生コンクリートを固まる前に現場まで運ぶための特殊車両です。生コンは時間が経つと硬化が始まるため、品質を保ったまま現場へ届けるには、専用構造のミキサー車が欠かせません。
本記事では、ミキサー車の仕組みや構造、サイズ、価格帯、架装メーカーなどをわかりやすく解説します。中古ミキサー車の選び方もご紹介していますので、購入検討中の方はぜひ参考にしてください。
ミキサー車とは、生コンクリート（生コン）を現場まで運ぶための専用トラックです。正式には「コンクリートミキサー車」とも呼ばれます。ドラム（回転胴）を搭載し、輸送中も絶えず生コンを攪拌（かくはん）することで、品質の低下や硬化を防ぎます。
ミキサー車は、主に建設・土木工事において使用されます。建設現場で使われるコンクリートは「生コン」と呼ばれる未硬化の混合物で、水・セメント・骨材（砂利など）を混ぜ合わせた状態です。硬化が始まる前に現場に届ける必要があるため、ドラムが常に回転している構造を持つミキサー車が用いられます。
ミキサー車にはさまざまなサイズがあり、積載量に応じて用途が分かれます。住宅街や狭い道には2t〜4tクラスの小型・中型車、大規模工事では10tを超える大型車が用いられます。都市部と地方、現場の規模などで適したサイズの車両を選ぶことが重要です。
ミキサー車が使われるのは、戸建住宅の基礎工事、商業施設や道路・橋梁建設などの工事現場です。また、生コン工場と現場を往復するピストン輸送が前提となるため、都市部では複数台の車両が同時に稼働するケースも少なくありません。
ミキサー車は、ドラムやホッパーなど複数の装置によって、生コンクリートを攪拌しながら現場まで安定して運搬できる構造になっています。各部品には明確な役割があり、それぞれが連携することで高い品質を保ちます。
ドラムはミキサー車の中核をなす装置で、生コンを常にかき混ぜる回転胴です。内部にある「スクリュー（羽根）」が回転することで、コンクリートを均一に攪拌・混合し、分離や硬化を防ぎます。
ドラムは斜めに設置され、傾斜によって材料が内部で循環します。荷下ろし時には逆回転させて、生コンをシュート（排出用の樋）から排出します。
ホッパーは、ドラムの入り口に設置されている漏斗状の部品です。コンクリートをミキサー車に投入する際の導入口で、上部に設けられたグリッド（網状の金属）により異物混入を防止します。生コンプラント側からホッパーへ材料が流し込まれ、そこからドラム内部に送られます。
スランプガードは、ホッパー上部に取り付けられた金属棒または網状のカバーです。生コンのスランプ値（柔らかさ）を目視確認しやすくするとともに、水や大きな異物、骨材の混入を防ぎます。プラントとドライバーが一目で品質を確認できるため、現場で重宝される装置です。
スクープは、ドラム内に取り付けられたスクリュー（羽根）状の部品で、攪拌（かくはん）・混合を担う役割を果たします。時計回りの回転で材料を後方に移動させながら混ぜ、逆回転では前方に押し出します。
荷下ろし時には上記の動きで生コンが排出されます。スクリューの角度やピッチによって攪拌性能が左右されるため、設計は非常に重要です。
シュートは、生コンを排出するための樋（とい）状の装置で、ドラム後部に取り付けられています。角度や方向を調整できるため、作業員は型枠など指定の場所にピンポイントで流し込むことが可能です。補助用のサブシュートが用意されている場合もあり、現場の状況に応じて延長して使われます。
水タンクは、生コンの粘度調整や車両・装置の洗浄に使用される水を貯める装置です。車体に固定されており、現場到着後に必要な水量をドラムに注入して流動性を保つ用途や、使用後の清掃に利用されます。水の供給にはポンプが用いられることが一般的です。
ミキサー車には、小型・中型・大型の区分があり、サイズや積載量、運転に必要な免許がそれぞれ異なります。現場の規模や道路環境に応じて最適な車両を選ぶことが重要です。
| 車種区分 | 最大積載量 | 積載容量（生コン） | 立米表記 | 全長 | 全幅 | 全高 | 必要な免許 |
| 小型 | ～2t | 約1.6〜2.0㎥ | 2立米クラス | 約5.0〜5.5m | 約1.9m | 約2.5m | 普通免許または準中型（5t限定） |
| 中型 | 3〜4t | 約3.0〜4.0㎥ | 4立米クラス | 約6.0〜6.5m | 約2.2m | 約3.0m | 準中型（7.5t）または中型免許 |
| 増トン | 約5.5〜7.5t | 約4.5〜6.0㎥ | 5〜6立米クラス | 約7.5〜8.5m | 約2.3〜2.4m | 約3.4〜3.5m | 中型免許（8t限定なし） |
| 大型 | 10t前後 | 約6.0〜8.0㎥ | 6〜8立米クラス | 約8.0〜9.0m | 約2.5m | 約3.5〜3.8m | 大型免許 |
小型は都市部・狭所対応に優れ、中型は最も汎用性が高く、大型は大規模施工向けに採用されます。運転には免許区分に応じた取得が必要となるため、購入・運用前に確認しておきましょう。
ミキサー車の価格は、車両の大きさ・架装メーカー・年式・走行距離などによって大きく異なります。ここでは、新車と中古車それぞれの相場を紹介します。
新車のミキサー車は、車体本体価格に加えてミキサーユニットの架装費が加算されます。一般的には以下のような相場になります。
| 区分 | 新車価格（目安） |
| 小型（2tクラス） | 約800〜1,200万円 |
| 中型（4tクラス） | 約1,300〜1,600万円 |
| 大型（10tクラス） | 約1,800〜2,500万円 |
メーカーによっては、カスタマイズやオプション装備を加えるとさらに費用が上がる場合があります。また、新車は納車までに時間がかかることもあるため、すぐに導入したい場合には中古も検討すると良いでしょう。
中古ミキサー車は、新車よりもコストを抑えて導入できるのが最大のメリットです。価格は年式や走行距離、ドラム容量などによって幅があります。
| 区分 | 中古価格（目安） |
| 小型（2tクラス） | 約300〜700万円 |
| 中型（4tクラス） | 約500〜1,000万円 |
| 大型（10tクラス） | 約800〜1,800万円 |
状態の良い車両や、走行距離が少ない車両は価格が高くなりますが、稼働率の高い現場では信頼性のある中古車を選ぶことがコストパフォーマンス向上に繋がります。
ミキサー車は、車両メーカーのシャーシに架装メーカーが専用のドラムや操作機構を搭載して完成します。ここでは、日本国内で特に信頼性の高い3つの主要メーカーを紹介します。
カヤバ株式会社はミキサー車の国内シェアが非常に高いメーカーです。多くの現場で採用されています。最大の特長は、独自開発のドラム形状による効率的な攪拌（かくはん）性能と、車両全体の軽量設計によって積載効率を高めている点です。
日常的な操作性や整備のしやすさにも配慮があり、多頻度輸送に向く堅実な設計がなされています。信頼性と実績を重視したい方におすすめのメーカーです。
極東開発工業は、建設車両の総合メーカーとして長年の実績を誇ります。ミキサー車においても、高精度な製造管理による製品品質と、操作の自動化・効率化を追求した設計が魅力です。
中型・大型問わず、多様なドラム容量やシャシーに対応するため、導入現場に応じた最適な選択肢がそろっています。とくに安全性・快適性にこだわりたい事業者に適した架装メーカーです。
新明和工業のミキサー車は、丈夫なドラムと駆動系が特徴で、長期的な使用にも耐える高い耐久性を誇ります。定期点検や部品交換のしやすさを考慮した整備性の高さも評価されており、トータルコストを抑えたい現場に適しています。
主に大型ミキサー車を中心に展開しており、量産現場や遠距離輸送など、タフな用途におすすめです。高負荷環境で活躍する1台を求める方に最適だと言えます。
中古ミキサー車の購入では、価格だけでなく、ドラムの摩耗状態や架装メーカー、整備履歴なども重要な確認ポイントです。ここでは、3つの側面から中古ミキサー車の選び方を解説します。
中古ミキサー車で最も重要なのは、ドラム内部の摩耗具合です。コンクリートを繰り返し混ぜたドラムは、摩耗によって内部の厚みが薄くなっている場合があります。
厚さが基準以下になると、割れやすくなったり、攪拌性能が低下したりするため、目視だけでなく超音波などの厚さ測定記録があると安心です。
また、水分やセメントにより腐食が進行している車両も注意が必要です。外観がきれいでも、内部に劣化が隠れているケースがあります。
ドラム内部に古いコンクリートが厚く付着・固着していないかを必ず確認しましょう。付着物が多いと実質的な積載容量が減るだけでなく、スクープ（羽根）の摩耗や変形を早め、バランス崩れの原因にもなります。
特にスクープの根元部分がコンクリートで埋まっていないか、羽根が欠けたり変形したりしていないかをチェックしてください。
試乗時にドラムを高速回転させると、付着物の偏りによる振動（ガタつき）や異音が分かりやすいです。回転がスムーズで静かな車両であれば、内部がきれいに管理されていた証拠となります。
中古ミキサー車は、一時抹消（ナンバーなし）車両を避けるのが無難です。抹消車は新規車検を取得する際に厳しく重量検査を受けますが、ドラム内にコンクリートが固着していると車両重量が大幅に増え、規定積載量を超えてしまうため車検が通らないケースが非常に多いです。
車検を通すには固着コンクリートを完全に除去しなければなりませんが、これは専門の「つる屋」業者に頼んでも高額かつ時間がかかります。外見だけでは付着量が分かりにくいため、車検残のある車両を選ぶか、事前に重量測定記録を確認しておくのが安全です。
中古ミキサー車の購入を検討している方は、ぜひGROOWAVEにご相談ください。GROOWAVEでは、ドラムの摩耗状態や架装メーカー、整備履歴をしっかりチェックした良質な中古車両のみを取り扱い、安心してご購入いただけるようサポートしています。
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